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HOMEMIC FUNエコ豆知識「ごみ」のいま・むかし~江戸時代はエコロジーな町~

「ごみ」のいま・むかし~江戸時代はエコロジーな町~

“環境問題”は今や私たちの生活の中でとても身近になっています。例えば、“もえるごみ・もえないごみ”、“びん・缶”の分別や、環境にやさしいエコ商品の購入などです。リサイクルという言葉も今や私たちの生活に浸透し、環境問題は、国や政治だけの課題ではなく、各個人が取り組むべき課題として認識されてきています。

2000年(平成12年)に循環型社会形成推進基本法が制定され、廃棄物の発生抑制、再生資源の適正な利用促進などについて定められ、国、自治体、生産者および消費者それぞれの責務についても言及されました。実現のための必要要素として、リデュース(ごみの減量)・リユース(再利用)・リサイクル(再資源化)3つの言葉の頭文字を取って3R、それにリフューズ(ごみになる物の拒絶)を加えて4Rと言われています。

江戸時代はリサイクル社会だった?

ごみのリサイクルについては、江戸時代が良く引き合いに出されますが、それもそのはず、江戸の町には、さまざまなごみが回収され、蘇らせるリサイクル社会が出来あがっていたのです。

江戸の名産品「浅草紙」

江戸の町は、江戸中から紙クズや金物クズ、生ごみから落ち葉まであらゆる「クズ」が拾い集められ、クズ寄せ場で種類別に分別され、それぞれの専門業者がお金を払って引き取り、再生紙や新しい金物、堆肥になっていました。そのお陰で、江戸の町は、ごみの落ちていないきれいな町でした。

集められた紙クズで作られた再生紙は、「浅草紙」といわれ江戸の名産品でした。紙を漉き返し、再生紙を作る「紙漉町」が浅草寺に近いところにあったことが名前の由来ですが、もとは、浅草寺近くの農家の副業としてはじめられたものでした。

「冷やかし」

この「浅草紙」は「冷やかし」という言葉に深い関係があります。紙を漉く職人が、紙クズを水に浸けておくことを「冷やかし」と呼んでいましたが、その間は暇であったので、時間つぶしのために、近くにあった江戸の歓楽街の吉原に出掛け、ただ見て歩いていたことから、買う気もないのにただ見てまわったり、値段を聞くことを「冷やかす」というようになり、やがて「からかう」という意味にも使われるようになったようです。

昔の再生紙は、紙クズを水の中に入れ、ドロドロにしたものを漉き返していたので、墨が除かれることもなく、ねずみ色をしていました。今の再生紙は、溶かした紙液の中に洗剤を加え、インクを洗い落とし、漂白をしています。技術の向上で、今の再生紙は、色も白く、バージンパルプの紙と変わりありません。

江戸の町は技冴える職人の町

ものを大切に使っていた江戸時代は、「修理」や「再生」の専門の職人がおりました。古い鍋や釜などの穴の修理を行う金属製品修理の「いかけ屋」、割れてしまった陶磁器を修理する瀬戸物の「焼き接ぎ屋」、木製の桶や樽の箍(たが)を修理する「箍屋」、包丁などの刃物を研ぐ「研ぎ屋」など、それぞれの分野のプロが、技を冴えわたらせる町でした。

時代劇を見ていると、長屋に住む浪人侍が傘を貼っている場面をよく目にしますが、竹と紙で出来ていた傘は、当然リサイクルの対象でした。「古骨買い」が買い集めた古い傘を「古傘問屋」が買い、油紙(油を塗って紙に防水加工したもの)を剥がして、新しい油紙に張り替えて「張替傘」として売っていました。なんと、広い面積のままきれいに剥がせた油紙は、天ぷらなどを包む包装紙として売られていたといいますから、そのリサイクル力は逞しいものがあります。

古着屋は現代でもよく見かけますが、江戸庶民にとって古着屋はとても身近な存在でした。手織でしか生産されない布は、とても貴重品でしたので、新調する人はごく一部のお金持ちの人。庶民のほとんどは古着屋で着物を調達していました。その着物が古くなれば、子供用に作り直す、おしめや雑巾にする、ハギレは端切れ屋に売るなどというように再利用されました。一反の布を直線で裁っていく和服は、ほどきなおして作り直すといったことができるリサイクルにはうってつけの着物だったのです。和服の洗い張り(縫いを解いて洗い仕立て直す)や染め直しといった技術は、伝統として現代にも受け継がれています。

ごみ処理のシステムは江戸時代から

江戸初期、人々は、各家庭のごみを近くの川や掘、空き地に捨てていましたが、江戸幕府は1655年(明暦元年)にごみは永代島(えいたいじま)に捨てるように命じました。これに伴って、江戸のごみ処理は、1)収集 2)運搬 3)処分 という流れが出来ました。今も続く、ごみを集め、運び、捨てるという流れは江戸時代からのものだったのです。

私たちがリサイクルを考える時、江戸時代の人々の生活は、数多くのヒントを与えてくれそうです。現代の生活を江戸時代の生活に戻すというのは、難しく、無理なことですが、江戸時代の「ものを大切にする、再資源化を徹底する」という生活スタイルや心がけは、学ぶべき点があり大切にしたいものです。