心を育てる! 患者接遇マナー

HOMEMIC FUN心を育てる! 患者接遇マナー第6回:感謝を表現する力を身に付けましょう~聴くを膨らませる~

感謝を表現する力を身に付けましょう~聴くを膨らませる~

みなさん、こんにちは。株式会社オフィスウエーブ代表ならびに、日本歯科プロアシスタントスクールの校長を務める澤泉仲美子です。患者接遇についてのコラムの6回目をお届けします。

「聴く」は表現力?

今回は「感謝を表現する力を身に付けましょう~「聴く」を膨らませる ~」についてお伝えします。

「この人ともっと話したい!なんて心地の良い会話なのだろう…」
「とっても安心感がある。この人なら、信頼して任せられる!」
など、会話をすると相手に対する理解は深まり、外見で判断するよりもさらに一歩、相手の人間性に踏み込めますよね。会話というと、話すことが主体に思われがちですが、実は話すよりも「聴く」ことが大切なのです。

話を「聴く」ことで、相手の気持ちや思いがわかります。さらに必要な情報が欲しい時には、質問をして「聴く」。つまり、「聴く」ことによって、会話のなかで相手を深く理解し、心地良い時間をつくりあげることができるのです。

しかし、ただ「聞く」のではなくて、「聴く」ことを意識しなければなりません。「聞く」は、BGMや子どもの鳴き声、タービンの音など、自然に音として耳に入ってくるもの。一方、「聴く」は、相手の声や言葉を意識してしっかり受け止めながら能動的に理解するものです。

例えば、興味のある分野のセミナーや、大好きなアーティストのライブは誰もが自然と「聴く」ことができます。同じように、患者さんからお話を伺う際にも、ぜひ「聴く」ことを意識してみてください。

話を「聴く」ことによって、相手は自分の思いが理解され、話を聴いてくれている人に対して心地良さを感じてくれます。ですから、能動的に「聴く」ことは、相手に対する自己表現でもあるのです。

しかし、残念ながら「聴く」ことを専門的にトレーニングした方は少ないでしょう。「話し方教室」はあっても、「聴き方教室」はあまり聞いたことがありません。逆にいえば、「聴く」をしっかりとトレーニングし、身に付けていくことは、飛躍的に表現力を高めるチャンスなのです。

「聴く」は全身を使う

字の作りに着目すると、「聴く」は「耳」に「目」と「心」を足す(十)と書きますよね。「聴く」ことは、耳だけではなく、目で聴き、心で聴き、全身を使って行う会話です。

では、目や心で「聴く」とはどんなことでしょう?
まず、相手の表情や目線、身振り手振りなどのジェスチャーを、目でしっかり観察し読み取ります。さらに、相手が話している内容に、一緒に心を傾けて、相手と同じことを感じようと意識を集中させます。

このように目や心、全身を使うことで、ただ聞いているだけでは見えてこない相手の話の本質をとらえ、感じることのできなかった共感ゾーンを持つことができます。
つまり、「聴く」ことは相手を受け入れることでもあるのです。

自分の話をしっかり聴いてもらえた患者さんは「この人は私を大事にしてくれている」「心を開いてもらえた」と感じることでしょう。感動していただけることさえあります。

それだけ人は誰かにしっかり話を聴いてもらえる体験をしていないということです。大切な家族ですら、きちんと話を聴いてくれないことが少なからずありますから、「聴いてもらえないこと」に対して日常的にフラストレーションを感じている患者さんは多いはずです。

ましてや歯科医院という場では、話すことの多くは自分の身体の一部に関する大切なことですから、より一層「聴く」ことの重要性は高まります。

患者さんと会話するという一見簡単に見えることでも、「聴く」を意識して継続することで「心地よくなんでも話せる人」「私のことを一番よく分かってくれる歯医者さん」というポジショニングができるようになり、患者さんはきっとあなたやその歯科医院のファンになっていくことでしょう。

「聴く」=感謝の表現

接遇とは感謝の気持ちを形に表すことです。感謝とは、今起きていることを当たり前に受け止めないこと。患者さんが来院される=7万分の1の奇跡が起こっているということです。とてもありがたいことですよね。

ですから、ありがとうございます!感謝しています!という気持ちを「見える化」することがとても重要です。その一つが「聴く」を表現することなのです。

「聴く」意識をもって患者さんの話に耳を傾け、聴いている姿勢を分かりやすく表現することで「私はあなたを大切に思っています。だから、あなたの話を一生懸命聴いています」というこちらの気持ちが、患者さんに対して「見える化」されます。

特に「うなずき」と「相づち」はその最たるものです。きちんと首を振りながら「うなずき」、少し声をだして「相づち」を行い、聴いていることを表現しましょう。当たり前のことのようですが、この2つをしっかり形にできている方は少ないものです。

私は人の話を聴くときに必ずこの2つを意識して、少しオーバーに表現しています。
結果として、実際に多くの方から「あなたのように私の話をよく聴いてくれる人は初めて!すごく心地よいし信頼できます」と言っていただけますし、そのあとも深い信頼関係が築けます。

「聴く」スキルは、他にもリフレイン、ミラーリング、マッチングなど少なくありません。これを機会にどうぞ「聴く」を身に付け実践していただきたいと思います。患者さんの呼吸に意識を向けて、自分の呼吸を合わせてみるところから始めてみましょう。

きちんと「聴く」ことができれば、患者さんに感謝の気持ちが伝わり、信頼関係が生まれ、診療に対してもきっとリラックスして臨んでいただけるはずです。

いかがでしたでしょうか。今回は「聴く」のポイントについてお話ししました。
次回は「感謝を表現する力を身に付けましょう~「表情」を膨らませる~」です。楽しみにしてくださいね。

連載インフォメーション(毎月第3週 公開予定)

<第1章 接遇の本質>
  • 1回目 感謝の気持ち
  • 2回目 根っこ
  • 3回目 しあわせの法則
  • 4回目 経営者視点・歯科業界を知る CS
<第2章 接遇スキル>
  • 5回目 感謝を表現する力を身に付けましょう~ 空気を膨らませる ~
  • 6回目 感謝を表現する力を身に付けましょう~ 「聴く」を膨らませる ~
  • 7回目 感謝を表現する力を身に付けましょう~ 「表情」を膨らませる ~
  • 8回目 感謝を表現する力を身に付けましょう~ 「表現力」を膨らませる ~
  • 9回目 姿勢・所作
  • 10回目 言葉遣い

※順番や内容は、一部変更になることがあります。

執筆者プロフィール

澤泉 仲美子(さわいずみ なみこ)


株式会社オフィスウエーブ代表取締役
日本歯科プロアシスタントスクール(PAS) 校長

共立女子短期大学で学び、歯科助手として社会人をスタート
学校法人三幸学園(さんこうがくえん)に就職。
クラス担任を受け持ちながら医療請求事務や秘書学・ 簿記学を担当し、1,500名の歯科助手を歯科業界に送り出しました。その後、日本歯科助手協会・会長を務め、歯科助手の社会的地位向上のための活動を精力的に行ってきました。
30歳で独立開業。株式会社オフィスウエーブを立ち上げました。
女性視点を歯科経営に活かすコンサルタント活動を行い、デンタルスタッフ向けに、患者接遇マナーやコミュニケーションスキル講師として全国で活発な講演活動を行っています。コーチングやNLPを学び、デンタルスタッフ育成に役立てています。

著書:「患者さんに好かれるスタッフ習慣術55」、「ファンをつくり出す歯科医院経営」、「歯科助手の上手な活用方法」(いずれもクインテッセンス出版)があります。
ホームページ:http://www.office-wave.jp