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自費率が高い歯科医院は何が違う?自費率向上の考え方とポイント

自費率が高い歯科医院は何が違う?自費率向上の考え方とポイント

経営の安定化のために自費率を上げたい。しかし、あまり患者さんに勧めると「高額な治療を勧められた」と患者離れを起こすのではないか。そんなジレンマに陥っている方は意外と多いのではないでしょうか。本稿では歯科医院を経営するうえで自費率を上げるための考え方、具体的な施策などをご説明します。

自費率を向上させるために

  全国の歯科医院における自費診療率はおよそ10~15%といわれています。自費診療の収益は保険診療よりも大幅に高くなるため、自費診療の患者さんを増やすことは、たとえそれがわずかな数であっても収益を上げるうえで非常に大きな効果があります。

自費率を向上させるためには、広告やホームページなど地域の患者さんへのアピールも重要ですが、それと同じくらい重要なのがご自身の歯科医院の現状分析を行うことです。

現状、利益をもたらしているのはどのような患者か、自費診療のなかではどのような治療が多いか、また自費診療患者はどのような経路で来院しているかなどを分析することで、自費率を向上させるための手がかりが見えてきます。

自費診療は患者さんの負担も大きくなるため、最初から積極的に治療を選ぶ人は多くありません。そのなかでも自費率を増やしていくためには、ご自身の診療所に来院する患者さんの属性や年齢層、来院経路などを把握し、例えば、チラシやポスティングを周辺地域に重点的に広告を打つ、対象コミュニティーで口コミ効果を狙うなど、どういう層に訴求すればいいかをしっかりと分析することが重要です。

  

自費率向上のポイント

自費診療は支払い金額が高額になるため、患者さんによっては拒絶感を示す人もいます。自費率を向上させたいものの、あまり勧めると「あの歯医者さんはもうけ主義ではないか」と患者離れの原因になると不安を感じる方も多いかもしれません。

しかし、自費診療を勧めるのは、患者さんの治療の選択肢を増やす取り組みであるといえます。実際には自費診療は患者さんにより良い治療を受けてもらうための選択肢になることも多く、高額だからといって一概に自費診療が適していないとは言い切れません。高額でもより良い治療を選ぶか、費用を抑えて治療するかは患者さん自身の選択であり、価値観の違いによるところが大きいものです。

自費診療をただ高額な治療への勧誘と取られないためには、患者さんに自費診療と保険診療の違いについてしっかりと説明し、理解してもらう必要があります。

・自費診療と保険診療で治療内容がどう変わるか
・自費診療と保険診療の費用の差はどのくらいか
・治療後の経過がどう変わるか
・治療に必要な期間はどのくらいか

こうした情報を提供し、自費診療を受けることのメリットを感じてもらえれば患者さんも納得して治療に向かうことができます。場合によっては資料を用意してカウンセリングを実施するといったように、患者さん自身の知識を高め、ご自身で選択できるような環境を整えることが自費率の向上につながるでしょう。   

  

自費率向上のための施策

 自費率を向上させるためにはただ患者さんに治療を勧めるだけでなく、多様化するニーズへの対応や宣伝活動、情報提供などの施策に戦略的に取り組み、患者さんの不安や疑問を解消していくことが重要です。

  

(1) 多様化するニーズへの対応

近年は患者さんのニーズも多様化しており、幅広く最新の医療技術や機器を知っておく必要があります。例えば「あの歯医者さんなら最新の技術で治療してくれる」といった評判が高まれば、おのずと患者さんも集まってくれることになるでしょう。場合によっては自費診療用の個室や専用のユニットを設置したり、歯科診断用のCTやCAD/CAM装置を導入したりするなど、より高度な治療ができるような環境を整えることも大切です。

  

(2)自費診療に関する情報提供

患者さん自身が自費診療について正しく理解し、自ら選択できるようになるためには情報提供が大切です。治療に関して先生から十分な説明を行うことはもちろんですが、院内掲示物を用意したりカウンセリングを実施したりするなど、患者さんが情報を得やすい環境づくりにも取り組みましょう。患者さんが納得のいくまで時間をかけて話ができるよう、専用のカウンセリングルームを設けている歯科医院も増えています。

  

(3)広告宣伝活動

戦略的な自費率向上の施策という視点では、宣伝広報活動も重要な施策のひとつです。インプラントや歯科矯正などを専門的に行っている歯科医院であることをアピールすることで、こうした治療ニーズのある患者さんを誘引することができます。具体的にはタウン誌への広告や看板の設置のほか、患者さんの検索にかかるようにホームページのSEO対策やリスティング広告に取り組むのも効果的なアイデアです。

  

自費率を上げるために用意したいツール

自費率を上げるためには歯科医院側でもさまざまな準備が必要です。患者さんへの情報提供や不安解消のために、以下のようなツールを用意しておきましょう。

  

自費診療の価格表

  自費診療を検討する患者さんが最も不安に感じるのは、やはり費用がどのくらいかかるかという点です。自費診療の価格表が用意されていて金額の目安がつかめれば、それだけでも検討しやすくなります。また同時に、材料のメリット・デメリットも伝えられるような資料を用意することで、患者さん自身も安心して治療を選択することができるようになります。

  

見積書

  金額の目安だけでなく、治療前に総額をしっかり把握したい患者さんもいます。費用総額の見積書をいつでも出せるようにしておくことで、その患者さんのケースに合わせた金額を提示できます。異なる材料・治療による自費診療の見積書を何パターンか用意し、保険診療の場合と比較検討できるようにすることで患者さん自身の納得感を高めることにもつながります。

また、医院さまからよくお伺いする自費診療の見積書に関する情報(お困りごと)も公開していますので、こちらも併せてご覧ください。
患者さんに、自由診療の見積書を渡して、しっかり説明したい

  

パンフレット・アルバム

患者さんにとって歯科治療は専門性が高く分かりにくいものです。治療内容や経過が分かるようなパンフレット、アルバムを用意して、どのような治療なのか、なぜその治療が必要なのかを分かりやすく伝えることが重要です。

  

治療計画書

  どのような治療を、いつまで行うか分からないままでは患者さんも不安を感じてしまいます。治療の内容や期間はどのくらいかかるかが分かるよう、治療計画書も用意したいツールのひとつです。

  

カウンセリングツール

  患者さんが治療に前向きに向かえるよう、カウンセリングを実施することも重要です。ITツールを活用した説明用のカウンセリングツールのほか、患者さんがどのような点に不安を感じるのか、どのように説明すればいいのかなど研修を行い、説明側のトークスキルも向上していきましょう。

  

院内掲示物

  患者さん自身に普段から自費診療に関する情報に触れてもらうためには、院内掲示物も用意したいツールのひとつです。いきなり歯科医師から「自費診療が必要です」と告知するよりも、基礎的な知識を持っていればそれだけ拒絶感も薄くなります。

  

ホームページ

ホームページでインプラントや歯科矯正などの専門性が高い歯科医院であることをアピールすることで、これらの治療ニーズが高い患者さんを集中的に集めることができます。

  

自費率アップのポイントは患者さんの納得感を高めること

 自費診療は保険診療に比べ高額になるため、ただ勧めても患者さんは納得しにくい場合もあります。先生からの説明やカウンセリングはもちろん、パンフレットや院内情報誌などで丁寧にコミュニケーションを取り、自費診療の魅力を伝えていくことが患者さんの納得感を高め自費率アップへとつながります。

  

本サイト上の「課題から探す」では、医院さまからよくお伺いする自費診療に関する情報(お困りごと)も公開していますので、こちらも併せてご覧ください。
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