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歯科衛生士とのコミュニケーション取れていますか?歯科医院におけるチームビルディングの重要性

歯科衛生士とのコミュニケーション取れていますか?歯科医院におけるチームビルディングの重要性

歯科医院の運営を安定させるためには、歯科衛生士や歯科助手などスタッフとのコミュニケーションが重要です。円滑なコミュニケーションは業務をスムーズにするだけでなく、院内の雰囲気を良好なものにして定着率の向上や、強いチームの育成にもつながります。

歯科衛生士との活発なコミュニケーションがもたらすメリット

歯科衛生士とのコミュニケーションを活発にすることは、どのような効果を生むのでしょうか。まずはコミュニケーションの重要性についてご紹介します。

  

定着率が向上する

歯科業界は、慢性的な歯科衛生士不足に悩まされています。公益社団法人 日本歯科衛生士会が2020年3月にまとめた『歯科衛生士の勤務実態調査報告書』によると、一度でも勤務先を変えたことのある歯科衛生士は76.4%にも上ることが明らかになっています。これは4人に3人が転職経験者であることを示しており、歯科衛生士の定着率の低さがうかがえます。

こうした状況では、現在働いている人材をいかに定着させるかが大きな課題となります。歯科衛生士が転職する理由は給与や待遇、家庭の事情などさまざまですが、人間関係に悩んで辞めるケースも決して少なくありません。特に個人経営の歯科医院は小規模でスタッフの数が少なく、人間関係が密接になりやすい環境です。円滑なコミュニケーションにより人間関係が良好なものになれば、定着率の向上につながるでしょう。

  

チームビルディングにつながる

チームビルディングとは、組織内の個人をまとめ、お互いの強みを生かしながら共通の目標に向かって協力し合えるチームを作り上げることです。効果的なチームビルディングは、生産性の向上やモチベーションの維持などに役立ちます。

歯科医院は歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士などさまざまな役割のスタッフがチームになって業務をこなす組織です。スタッフ間の連携や信頼関係は、業務をスムーズに進めるだけでなく、患者さんに提供する医療の質を大きく左右することになります。もしもコミュニケーション不足によりスタッフ間の引き継ぎが不十分だったり、業務の押し付け合いや責任転嫁をしていたりすると、医院運営しいては経営に支障を来すことにもなりかねません。

業務をスムーズに進めていくためには、それぞれのスタッフが密接に連携し、プロフェッショナルとしての役割を全うしていく必要があります。スタッフとのコミュニケーションの活性化は、院内の雰囲気を良くするだけでなく、チームビルディングにもつながるのです。

コミュニケーションを活性化し、チームビルディングにつなげる方法

歯科医院における強い組織とは、コミュニケーションが円滑でチームワークに優れ、患者さん中心の医療を提供できる組織のことを指します。歯科衛生士や歯科助手とのコミュニケーションを活性化し、チームビルディングにつなげるためには、以下のような取り組みを行っていく必要があります。

  

定期的なミーティングの実施

一度業務が始まれば目の回るような忙しさが続く歯科医院にとって、ミーティングは業務内容や患者さんの情報を共有する大切な場です。業務を円滑なものにするだけでなく、ケースの相談や意見交換を通して、業務上の不安を解消するためにも欠かせないものと言えるでしょう。

また、ミーティングを定期的に行うことで、治療方針や医院の運営方針をスタッフが共有できるというメリットも生まれます。これにより業務の透明性が高まるため、スタッフ全員が一丸となり、同じ方向を向いて業務に取り組めるようになる効果も期待できます。目指すべき方向性が一致しているのは、強い組織の大きな特徴です。

  

コミュニケーショントレーニングの導入

スタッフ同士の円滑なコミュニケーションを促すためには、専門的なトレーニングを導入するのも効果的な方法です。感謝の伝え方や適切な距離の取り方、先輩スタッフから後輩スタッフへの適切なフィードバックの方法など、職場のコミュニケーションはトレーニングにより改善できるものです。

研修を通して、スタッフ全員が職場におけるコミュニケーションの取り方を学べば、性格的に苦手な相手とコミュニケーションを取る方法や、相手に受け入れられやすい話し方を理解することができます。積極的にコミュニケーションが取れる環境ができれば、お互いに信頼関係も構築しやすくなります。チームビルディングにも大きな効果が期待できるでしょう。

強い組織を実現するためのポイント

コミュニケーションの活発化やチームビルディングに取り組み、強い組織を実現させるためには、どのようなポイントを意識すればよいのでしょうか。特に重要なポイントをご紹介します。

  

共通体験を増やす

意識すべきポイントの1つ目は、共通体験の数を増やすことです。例えば、歓迎会や暑気払い、忘年会など、仕事外でのコミュニケーションを増やすのもひとつの手段です。また、学会や展示会など、勉強を兼ねたイベントへの参加を募る歯科医院も多いでしょう。こうした共通体験を増やすことで、自然とコミュニケーションは活発なものになります。

また、歯科医院としての目標を共有する方法もあります。例えば売上高や通院者数、保険外診療数の増加など、歯科医院が目標としている数字をスタッフ間で共有することで、同じ価値観を持って業務に取り組むことができます。目標を達成した場合は報奨があると、さらに共有意識を高める効果があるでしょう。

歯科医院としての目標だけでなく、個人目標を共有するのも効果的な方法です。資格習得やスキルアップ研修、アクションプランの作成などを通してスタッフ一人ひとりの成長を促したり、それを人事評価につなげる制度を作ったりすれば、個人の技術向上を歯科医院のスタッフ全体で共有することができるでしょう。共通体験を増やすことは、スタッフ一人ひとりのレベルアップにもつながり、医院全体の技術向上をもたらします。

  

チームワークを意識する

普段の業務のなかで全員がチームワークを意識し、それぞれの役割をしっかりと果たしていくのも強い組織を作る重要なポイントです。チームワークを意識するためには、毎朝のミーティングで一日の予定や患者さんの情報を共有することや、治療方針について話し合うことなどが効果的です。

また、治療中に歯科衛生士が気づいたことを歯科医師に伝える、歯科助手が器具の準備状況を確認するなど、小さなことでもお互いに声を掛け合う姿勢が重要です。業務の合間にスタッフ同士が気軽に話せる雰囲気を作ることも効果的でしょう。このような積み重ねが、強固なチームワークにつながっていくのです。

歯科医院を運営していくためには、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士などプロフェッショナルとしての役割を持ったスタッフが、協力し合う必要があります。コミュニケーション不足により誰かひとりでも役割を果たすことができないと、業務がスムーズに回らないだけでなく、患者さんに不安を与えることにもなります。日々の業務のなかでしっかりとチームワークを意識し、お互いの役割を尊重しながら仕事をすることが、コミュニケーションの活性化やチームビルディングには重要なポイントです。

まとめ:コミュニケーションの活性化やチームビルディングは歯科医院の運営を安定させる

歯科衛生士とのコミュニケーションが十分に取れていないと、業務がスムーズに回らないばかりでなく、治療の質の低下や院内の雰囲気の悪化を招き、通院者が離れていく結果にもなりかねません。一方コミュニケーションを積極的に行うことで、スタッフ間の情報共有や連携が円滑になり、業務の効率化が図れます。また、歯科医師と歯科衛生士の連携を強化することで、患者さんにより適切な治療を提供できるようになるでしょう。

さらに、コミュニケーションが活発になることでスタッフ間の信頼関係が深まり、働きやすい職場環境の構築やチームビルディングにつながります。歯科医院の運営を安定させるためにも、コミュニケーションの活性化、チームビルディングを意識してみてはいかがでしょうか。

このほか、本コラムでは歯科衛生士の離職防止や定着率向上に関する以下のようなトピックをご紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。

  

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