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歯科衛生士はどうして定着しないのか?その理由と対策を考える

歯科衛生士はどうして定着しないのか?その理由と対策を考える

歯科衛生士は歯科医院にとって欠かせない存在と言えますが、近年はその定着率の低さ、離職率の高さがたびたび話題となり、先生方の頭を悩ませているのが現状です。歯科衛生士が辞めてしまう原因にはどんなものがあるのか、また、長く働いてもらうために歯科医院ができることは何なのかをまとめました。

歯科衛生士の定着率はなぜ低いのか

近年、歯科業界では慢性的な歯科衛生士不足が続いていると言われています。その原因のひとつとして挙げられるのが、歯科衛生士の定着率の低さです。

日本歯科衛生士会が2020年3月にまとめた『歯科衛生士の勤務実態調査報告書』によると、現在の職場での勤務年数が5年未満の歯科衛生士は38.7%にものぼることが明らかになっています。この数字は常勤の歯科衛生士のみを対象にした数字であり、パートタイムなど非常勤の歯科衛生士を含めると、実際の数字はもう少し高いことが予想されます。これは、言い換えると約4割が5年以内に離職していることを示しており、歯科衛生士の定着率の低さをうかがわせる数字と言えるでしょう。

また、厚生労働省による職業情報提供サイトによると、2022年度における全国の求人倍率は3.39倍となっており、1人の歯科衛生士に対して3件以上の求人があることが明らかになっています。歯科衛生士にとって転職しやすく、より良い環境を求めてチャレンジしやすい環境であることは悪いことばかりではありません。しかし、一方で歯科医院を経営する立場としては、長く働いてくれたスタッフが辞めてしまうと、新しいスタッフを雇用し教育するための時間もコストもかかることは言うまでもありません。そのため、歯科医院にとっては歯科衛生士に長く働いてもらうための工夫と対策が必要とされる状況です。

歯科衛生士の離職率を下げるための工夫と対策を考えるうえでは、その離職理由を知ることも重要です。

前出の『歯科衛生士の勤務実態調査報告書』によると、歯科衛生士の主な転職理由は「出産・育児(11.7%)」「結婚(9.9%)」の順に多く、ライフステージが変わったことをきっかけに転職するケースが多いことが明らかになっています。この調査結果は、ライフステージが変わったあとも長く続けられる環境や、復職を支援する仕組みが整備されていない現状がうかがえる結果と言えるのではないでしょうか。

このほか、歯科衛生士の転職理由としては「経営者との人間関係(9.1%)」「仕事内容のレベルアップのため(4.8%)」も上位に上がっています。歯科衛生士の離職を防ぐためには、一人ひとりが気持ち良く働ける環境づくりや、チャレンジする気持ちをあと押しできるような制度づくりが重要と言えるでしょう。

歯科衛生士を定着させるための施策

歯科衛生士に長く働いてもらうためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。以下でポイントを説明します。

  

柔軟な働き方への支援

前出の『歯科衛生士の勤務実態調査報告書』によると、歯科衛生士の主な転職理由の上位2つは「出産・育児」「結婚」です。この調査結果を踏まえると、結婚や出産、育児などでライフスタイルが変化しても働き続けられるような仕組みづくりは欠かせない施策と言えるのではないでしょうか。

特に出産・育児の場合、産休や育休などの休暇を経て復職しても、これまでと同じように働くのが難しいこともあります。そのため歯科衛生士に長く働いてもらうためには、産休や育休の制度づくりだけに取り組むのではなく、時短勤務(短時間勤務)をはじめとする柔軟な勤務体系制度のほか、急に欠勤や早退をしなければいけなくなった場合にスタッフ全員でサポートできるような仕組みづくりが重要と言えます。

  

キャリア開発支援

歯科衛生士の転職理由として「仕事内容のレベルアップのため」が上位に上がっていることを考えると、スタッフのキャリア開発支援も重要な施策のひとつになるでしょう。そもそも歯科衛生士は、養成機関で専門知識や技術を学んだあとに国家試験に合格することが必要な、非常に専門性の高い仕事です。基本的に仕事に対するモチベーションは高く、また患者さんの健康を守ることは大きなやりがいにつながります。こうしたやる気を支援し、スタッフのスキルアップを促すことは、歯科医院としても大きなプラスになるでしょう。

特に近年は高齢化社会が進行し、予防治療や訪問診療などこれまでにないニーズが高まっています。また、インプラントをはじめとする専門分野に特化した認定資格もあります。こうした資格の取得やセミナーへの参加を支援する制度があれば、モチベーションの高い歯科衛生士の定着率を高める効果が期待できるでしょう。

  

報酬アップの仕組みづくり

仕事へのモチベーションが高く歯科医院に貢献してくれる歯科衛生士に対して、その頑張りをしっかりと評価することも重要なポイントです。日ごろの仕事ぶりや取得した資格に応じて給与がアップすれば、本人にとって大きなモチベーションとなるだけでなく、スタッフ全体に「私も頑張ろう」という意識が生まれるでしょう。

報酬アップの仕組みにはさまざまなものがありますが、日ごろの仕事ぶりを評価する場合は、「リーダー」「チーフリーダー」などのように昇格制度を作って昇格するごとに報酬をアップする仕組みがあります。また、医院全体のスタッフのモチベーションを上げたい場合は、経営業績に応じた特別賞与を通常の賞与とは別に支給するという方法もあります。

  

良好な人間関係を構築する

歯科衛生士の離職を防ぐためには、日ごろから良好な人間関係の構築に取り組むのも重要です。特に歯科医院は個人経営が多く、従業員数が少ないケースが一般的です。そのため、コミュニケーション上の行き違いがあって一度人間関係が悪化してしまうと、異動やシフトの調整で解決することは難しく、大切なスタッフの離職につながりやすい傾向にあります。

こうした事態を防ぐためには、日ごろからスタッフ同士のコミュニケーションがうまくいっているか、後輩スタッフへの教育は適切に行われているかなどに気を配り、スタッフをうまくマネジメントしていく必要があります。

歯科衛生士の定着率をアップするためのポイントについては、以下の記事にも詳しくまとめられています。こちらもあわせてご一読ください。

●関連コラム:歯科衛生士不足が続く歯科業界、定着率を上げるためのポイントとは

歯科衛生士の定着は技術やサービスの向上にもつながる

歯科衛生士に長く働いてもらうためには、モチベーションが続くような仕組みづくりや、長く居続けたいと思ってもらえるような環境を整えることが大切です。歯科衛生士が定着することは、それだけ歯科医院全体の技術力やサービスレベルが向上することにもつながるでしょう。

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