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高まる患者ニーズ、歯科医院のキャッシュレス決済導入のポイント

高まる患者ニーズ、歯科医院のキャッシュレス決済導入のポイント

近年はクレジットカードやデビットカードに加え、二次元バーコードや電子マネーなどキャッシュレス決済の普及が進んでいます。小売業界や飲食業界ではすっかり一般的になったキャッシュレスですが、歯科をはじめとする医療業界ではまだまだ導入が進んでいないのが現状です。今回の記事では、歯科医院でキャッシュレス決済の現状や導入するメリット、導入の際に知っておきたいことを解説します。

  

医療業界のキャッシュレスの現状

歯科医院をはじめとする医療業界において、キャッシュレス決済は実際のところどの程度普及しているのでしょうか。厚生労働省の調査によると、2018年の時点で病院におけるクレジットカード、デビットカードの導入率は49.0%、電子マネーなど非接触カードの導入率は2.2%となっています。また、診療所に限定した場合、クレジットカード、デビットカードの導入率は16.5%、非接触カードの導入率はわずか1.9%にとどまっており、小売業界や飲食業界など他業種に比べると、特に小規模クリニックにおけるキャッシュレス決済はまだまだ普及が進んでいないことが明らかになっています。

一方で、患者さんなど医療機関を利用する人々からはキャッシュレス決済の導入を求める声が高いことも明らかになっています。ある通信事業会社が2020年に行った調査によると、「今後キャッシュレス払いができるようになってほしい場所」という質問に対して、回答者の44%が「病院・調剤薬局」と回答しており、2位以下の回答(自動販売機、飲食店など)を大きく引き離す結果となりました。

利用者からのニーズは高いのに、キャッシュレス決済はそれほど普及していない。こうした理由のひとつには、決済手数料の問題があるとされています。確かに医療機関の支払いは小売業界や飲食業界に比べて高額になるケースも多く、決済手数料はそれに比例することになります。こうした費用が歯科医院の経営を圧迫するのでは、と心配になるのも当然と言えるでしょう。

加えて保険診療の場合、他の業種と異なり価格に転嫁できないなどありますが、決済手数料は、あくまで患者さんの自己負担額に対してかかるという点は理解しておくべきと言えるのではないしょうか。

  

キャッシュレス導入の際のポイント

キャッシュレス決済を導入する際は、以下のようなポイントを踏まえて検討することが重要です。

国や行政による推進

政府は利用者の利便性向上を図るため、カードによる医療費の支払いができるようあっせんを行っています。下記の資料では総務省が公的病院でのカード払い対応についての行政相談に対し、「患者サービスの一層の向上、医療費の収納事務の効率的・効果的実施の推進等を図る観点から、その導入に向けた検討を行う必要がある」と回答しています。このことからもキャッシュレス決済が行える医療機関の数が増えていくことが予想され、注視しておくことが大切です。
参考:カードによる医療費の支払方式の拡大(回答)

  

自費診療における決済手数料

キャッシュレス決済の手数料は、患者さんの自己負担額に対してかかることになりますので、経営戦略として自費診療の割合を増やす取り組みを行っている場合、手数料もそれだけ増えることになります。そのため、導入の際はどの程度の手数料を支払うことになるのか、医院経営に与える影響度をしっかりイメージすることが重要です。

  

決済ブランドは患者層を踏まえて選択する

決済ブランドにはさまざまなものがありますが、利用者が少ない決済方法を選択してもメリットはあまりありません。決済ブランドは患者さんの年齢層などを踏まえて選択することが重要です。一般的に、高年齢層が多い場合はクレジットカードが、若年層が多い場合はクレジットカードに加えて二次元バーコード決済や電子マネーの利用が多くなり、駅近くに歯科医院がある場合は交通系電子マネーのニーズが増える傾向にあります。

  

キャッシュレス決済の種類

キャッシュレス決済にはさまざまなブランドがありますが、大きく以下の4つに分けられます。

・クレジットカード:Visa、Mastercard、アメリカン・エキスプレス、JCBなど
・デビットカード:銀行系カード、国際ブランド系カードなど
・電子マネー(非接触型IC決済):Suica、PASMO、WAON、iD、nanaco、楽天Edyなど
・二次元バーコード:Pay Pay、LINE Pay、メルペイ、楽天ペイなど

キャッシュレス決済を導入する際はいずれも決済用の端末が必要になりますが、クレジットカード、デビットカードのみに対応しているもの、電子マネーや二次元バーコード決済にも対応しているもの、またブランドによって対応していない機種など種類があるため、導入したい決済方法に合わせて端末を選ぶことが重要です。

  

キャッシュレス決済を導入するメリット

歯科医院がキャッシュレス決済を導入するメリットには、以下のようなものがあります。

レジ作業の短縮化

キャッシュレス決済は現金のように受け渡しやお釣りの計算といった手間がないため、レジ業務の効率化につながるメリットがあります。また、キャッシュレスを利用する患者さんの割合が増えれば釣り銭の用意も最小限で済むので、両替頻度や両替手数料を減らすことにもつながります。とくに両替手数料は近年上昇傾向にあり、キャッシュレス決済を導入することで費用の節約にもつながります。

  

非接触での決済

近年の感染症の流行もあり、他人と接触することに対して抵抗を覚える人も増えています。特に医療機関は厳格な感染対策が求められる場ということもあり、他人と接触することなく支払いを完了できるキャッシュレス決済の導入は、患者さんに対して安心感を与えることにもつながります。

  

他院との差別化による集客効果

先にもご紹介したように、医療機関におけるキャッシュレス決済は多くの人々が望んでいるものの、まだまだ普及が進んでいないのが現状です。また、近年はクレジットカードやデビットカードだけでなく、電子マネーや二次元バーコードなどさまざまな決済方法が登場し、ユーザーも増えています。そのため、キャッシュレス決済を導入していること自体が患者目線に立つことにもなり、他院との差別化につながります。例えば、近くのショッピングモール発行のクレジットカードを利用できるなどすると、商圏に含まれ、差別化となりスムーズな来院につながります。

  

代金回収が楽になる

キャッシュレス決済を導入することで、患者さんにとっては支払い方法の選択肢が増えることになるので、仮に現金の持ち合わせがない場合でも支払いをお願いすることができ、未収金リスクの低減につながるメリットがあります。

  

まとめ:キャッシュレス決済の導入は集患効果も期待できる

歯科医院におけるキャッシュレス決済導入は、手数料や決済端末の導入コストなどの点から敬遠されがちです。ただ、国や行政が医療機関のキャッシュレス決済導入を推進していることや、患者さんのニーズがあることなどを踏まえると、今後キャッシュレス決済を導入する歯科医院が増えたり、キャッシュレスに対応していることで集患効果が生まれたりすることも予想されます。キャッシュレス決済の導入は、これらの効果とかかる費用を踏まえ、総合的に判断することが重要と言えるのではないでしょうか。

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