新規開業・乗り換えのための歯科レセコンの選び方
本記事では、歯科レセコンを取り巻く最新状況から、選定時に確認すべきポイント、状況別の選び方、そして導入時の実務まで、一連の流れを解説します。
歯科レセコンを取り巻く最新状況と市場トレンド
まずは、歯科レセコン選定に影響する市場トレンドを整理します。
医療DXへの対応
国が進める医療DXの流れを受け、レセコンにはこれまで以上に幅広い役割が求められるようになってきました。単にレセプトやカルテを作成するためのシステムではなく、歯科医院のデジタル業務を支える中心的な存在として位置づけられています。特に、診療データと請求情報をひとつのシステムで扱い、業務を効率化させるかがポイントです。
歯科医院における主なデジタル化の流れとしては、次のようなものがあります。
・電子カルテへの対応
紙カルテ不要でペーパーレス化を実現し、厚生労働省のガイドラインに沿った管理が求められています。マイナ保険証を活用した「電子カルテ情報共有サービス」への対応も視野に入れることが重要です。
・オンライン資格確認への対応
マイナ保険証を利用した資格確認が普及しつつあり、患者情報を正確に取り込めるシステムが欠かせません。受付のスムーズ化にもつながります。
・電子処方箋への対応
薬局とのやり取りもデジタルで完結する環境が広がり、患者さんの利便性だけでなく、処方情報の正確性も高まります。
こうした医療DXの取り組みは、歯科医院の事務作業を効率化するだけでなく、患者さんの利便性向上や医院運営の改善にもつながります。そのため、今後のレセコン選びでは、医療DXへの対応力が大きな判断基準となっていきます。
会計業務の変化
近年は、患者さんの支払い方法に対するニーズが大きく変化しています。自動精算機・釣銭機を導入する歯科医院が増加傾向にあり、クレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレスが一般化しつつある状況です。また、現金の持ち合わせがなくても支払える 「会計あと払い(後払い決済)」 といった新しい仕組みも広がりをみせています。
こうした環境の変化により、レセコン側でも、以下のような決済連携が求められています。
・キャッシュレス決済への対応
クレジットカードやQRコードでの支払いが増え、会計処理がスムーズになり、受付での待ち時間短縮やスタッフの負担軽減につながります。
・会計あと払い(後払い決済)
患者さんは受付での支払いを待たずに帰宅でき、歯科医院は受付の混雑緩和や業務効率化が図れるのが特徴です。
会計のあと払いについての詳細は、こちらのコラムもご確認ください。
●関連コラム:「歯科医院のあと払い システムのメリットと導入方法について」はこちら
サブスク方式の台頭
レセコンの導入方式にも変化が見られます。従来は一括購入やリース契約が一般的でしたが、最近は月額制(以下、「サブスク方式」)を提供するメーカーも増えてきました。
サブスク方式の主な特徴は、サービスを「所有」するのではなく、月額などの「定額料金」を支払うことで一定期間「利用する権利」を得るという考え方です。同じ月額でもリースと違い、5年や6年といった契約期間に縛られることなく利用することができます。初期費用を抑えやすいことに加え、診療スタイルの変化に合わせて機能を追加したり、使わなくなった機能を減らしたりと、柔軟に運用できるメーカーも増えてきました。
システム運用形態の選択肢
レセコンの運用形態は、「オンプレミス型」と「クラウド型」の大きく2つに分かれます。近年はクラウド型への注目が高まりつつあるものの、歯科分野では従来のオンプレミス型を継続する医院も多く、医院の体制や導入方針によって選択が分かれます。
クラウド型は、サーバーを院内に置く必要がなく、導入にかかる工数が抑えられます。また、診療報酬改定時のプログラムアップデートが自動的に行われる機能が搭載され、運用負担を軽減できることもメリットです。訪問診療や分院展開を見据える場合、院外からでもアクセスできる柔軟性も強みとなります。
一方、オンプレミス型は、既存の院内ネットワークを活用し、セキュリティ面を含めたデータ管理を自医院の管理下で行えることが強みです。
レセコン選びで確認すべきポイント
レセコンの選定では、日々の業務に直結する要素を総合的に確認しておくことが重要です。ここでは、導入前に押さえておきたい主なポイントを順に整理します。
導入方式(パッケージ方式・サブスク方式)
レセコンの導入時には、パッケージ方式(リース・買い取り) とサブスク方式(月額制) のいずれかを選択します。支払い方法や費用のかかり方が異なるため、導入前に整理しておくと安心です。
・パッケージ方式(リース・買い取り)
導入時にシステムを購入する方式で、長く使うほど費用を平準化しやすい特徴があります。既存の運用が確立している医院では、この方式を継続しているケースも少なくありません。
・サブスク方式(月額制)
月額利用料を払いながら使う方式です。初期費用を抑えやすく、費用面の負担を軽減できます。メーカーによっては、機能の追加や変更が柔軟で、医院の状況に合わせた利用ができるのも特徴です。
導入方式を検討する際には、初期費用とランニングコストの違いだけで判断するのではなく、どのくらい使い続けるのか、そして今後の診療体制がどのように変化していくのかを踏まえて考えることが大切です。たとえば、運用体制がすでに安定している医院であれば、長期的に費用を抑えられるパッケージ方式が適している場合があります。一方で、開業間もない医院や、将来的に機能の追加や運用の見直しが想定される場合は、サブスク方式の方が負担を抑えつつ柔軟に対応しやすいこともあるでしょう。
サブスク方式のレセコンについての詳細は、こちらの記事もご覧ください。
●関連コラム:「歯科医院向けレセコンのサブスクリプションについて詳しく解説」はこちら
必要機能の見極めとサポート体制
自院の診療スタイルに合わせて、どの機能を使う場面があるのかを具体的に考えておくことが大切です。訪問診療を行う場合は介護保険請求への対応、予約患者が多い医院では予約管理やリマインド機能が役立ちます。さらに、受付業務の負担が大きい医院では、釣銭機や自動精算機、先に挙げた会計あと払いなどの会計ソリューションと連携できることが、業務効率化につながる重要な機能となります。また、複数の歯科医師やスタッフが勤務する場合は、個別対応した患者さんの情報を共有する機能や利用者ごとのアクセス権限設定も欠かせません。
あわせて、導入後の使いやすさに直結するのがサポート体制です。ウェブやメール、電話などの幅広いサポート窓口が用意されているかに加え、電話やリモートでのサポート可否、訪問対応の範囲についても事前に確認しておくことが大切です。そのうえで、導入時の研修やスタッフ入れ替え時のフォローがどこまで受けられるかなど、運用面で困らない仕組みが整っているかを確認しておくと安心です。
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●関連サービス:「患者カード」はこちら
状況別・最適なレセコンの選び方
レセコンは、医院の状況や将来の展開によって重視すべきポイントが変わります。新規開業か、既存システムからの乗り換えかを踏まえ、自院に最適な選択肢を整理していくことが大切です。
新規開業で初めて導入する場合
新規開業では、まず自院をどのような歯科医院にしたいかを明確にし、事業計画や診療方針に照らし合わせながらレセコンを検討していくことが重要です。市場にはさまざまなメーカーがあり、使い勝手や費用、拡張性、サポート内容にも違いがあります。初期費用だけで判断するのではなく、数年後の運用イメージも踏まえて、多面的に比較することが失敗を防ぐポイントになります。
また、必要以上に機能を盛り込みすぎると、操作が複雑になり、コストが膨らむこともあります。逆に、後から必要になる機能に対応できない場合もあるため、「何を優先するか」「何を割り切るか」を整理しておくことが大切です。デモンストレーションや体験版を通じて、日々の入力がスムーズに行えるかどうかを確認しながら、自院の将来を支えられるレセコンを選びましょう。
既存レセコンからの乗り換えを検討する場合
乗り換えを検討する背景には、サポート終了やランニングコストの見直し、運営方針の変化に伴う機能不足などがあります。特にデータ移行はメーカーによって対応範囲が異なり、移行期間や費用、スタッフが慣れるまでの体制を含めて具体的に確認する必要があります。
さらに、予約システムや電子カルテ、会計ソリューションなど、今後増える可能性のある外部システムとの連携性も重要な評価ポイントです。繁忙期やレセプト業務が重なる時期を避け、段階的な切り替え計画を立てることで、現場の混乱を最小限に抑えたスムーズな移行が可能になります。
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導入時に押さえるべきポイント
レセコン導入時には、費用面や補助制度、運用開始までの準備など、事前に確認しておくべき項目があります。ここでは、導入をスムーズに進めるために押さえておきたいポイントを整理します。
初期費用とランニングコストの考え方
レセコンを選定する際は、初期費用とランニングコストをそれぞれ個別に見るだけでなく、導入から数年後までを含めた総額で考えることが重要です。初期費用に含まれる範囲や、月額費用の内訳は製品によって異なり、追加オプションやアップデート費用が発生する場合もあります。見積もりの内容に漏れがないかを確認しながら、総合的に比較しましょう。
また、長期運用を前提としたレセコンでは、将来的な診療内容の変化に対応できる拡張性も欠かせません。必要な機能を追加できるか、外部システムと連携できるかなど、アップデートや機能拡張の仕組みを把握しておくことで、導入後の思わぬ制約を避けられます。
レセコンの乗り換えなどで活用できる補助金制度
レセコンは、補助金などの補助制度の対象となる場合があり、導入コストを大きく抑えられる可能性があります。多くのレセコンが補助対象として登録されており、補助率や補助額の上限も比較的高めに設定されていることが多いようです。申請は支援事業者(メーカーや代理店)と共同で行うため、手続きに不安がある場合でも進めやすい点がメリットです。ただし、申請から交付決定まで時間がかかるため、導入スケジュールに余裕を持つ必要があります。また、交付決定前に契約を進めてしまうと補助金の対象外となる可能性があるため、申請のタイミングには注意が必要です。
スタッフへの教育と運用準備の流れ
新しいレセコンをスムーズに運用するには、スタッフ研修が欠かせません。導入時にはメーカーの初期研修を受け、基本操作を一通り習得しておくことが重要です。導入直後は操作に慣れるまで時間がかかるため、診療スケジュールにゆとりを持たせると安心です。また、トラブル発生時には、システム停止時の連絡先や手書き対応への切り替え手順など、トラブル発生時のフローを事前に整理しておくことで、安心して運用を開始できます。
まとめ
レセコン選びは、診療報酬の正確な算定や業務の効率化だけでなく、医院運営の安定にも関わる重要な判断です。今後も制度面での見直しやデジタル化が進むことが想定されるため、補助金制度の活用も含め、将来の運用を見据えた検討が必要です。
新規開業や既存システムからの乗り換えなど、医院の状況によって重視すべきポイントは異なります。まず自院の診療スタイルや課題を整理したうえで、料金体系、必要機能、拡張性、サポート体制などを総合的に確認し、長期的に無理なく運用できる製品を選ぶことが大切です。また、導入時のスタッフ研修や乗り換えのタイミングを事前に計画しておくことで、診療への影響を抑えながらスムーズに運用を開始できます。
レセコンは一度導入すると長期間使い続けるシステムです。目先のコストだけでなく、5年後・10年後の医院の姿を見据えた選択を心がけてください。本記事で紹介した選定の考え方や判断のポイントを体系的に整理した「レセコン選び攻略ガイド」を参考に、自院に最適なレセコンを見つけていただければ幸いです。
●あわせて読みたいお役立ち資料:「レセコン選び攻略ガイド」はこちら
│投稿者│株式会社ミック デジタルマーケティングチーム
株式会社ミックが運営する歯科医院さま向けのコラムです。
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