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実質の義務化?!今からできる歯科レセプトのオンライン請求に必要な準備を解説

実質の義務化?!今からできる歯科レセプトのオンライン請求に必要な準備を解説

令和5年6月16日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」には、ICTの活用を推進し、歯科保健医療提供体制の構築と強化や診療報酬改定DXによる医療機関等の間接コスト等の軽減について明記がされています。さらに「規制改革実施計画」の「各種レセプト関連業務のDX化に伴う見直し」にはオンライン請求への移行計画等を整理・明確化し、必要な対応を早期に促すことがうたわれており、レセプトのオンライン請求義務化が現実味を帯びてきています。では実際にどのような影響が考えられるでしょうか。現状のまとめや義務化となった場合の影響、それに向けての準備などについて解説します。

議論が進められるオンライン請求義務化の現状

1 国が示すデジタルヘルスの方針について

骨太の方針と言われる経済財政運営と改革の基本方針2023において、歯科領域ではICTの活用を推進し、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組むことが明記されています。また規制改革実施計画では「医療・介護・感染症対策分野」の「デジタルヘルスの推進①-データの利活用基盤の整備-」の中で、「オンライン請求の割合を 100 %に近づけていくためのロードマップ(案)」を作成し、実効的なものとなるよう必要な対策を講ずるともうわたれています。

昨今では医療DXという言葉をよく聞かれるようになりましたが、これらは国がデジタルを活用したデジタルヘルスに本腰をいれ、推進するという姿勢を明確に示しているものといえます。この流れのなかでオンライン請求の義務化についても推進されることが予想されます。歯科医院においても、影響を受けることが考えられることから事前準備を計画的に進めておく必要がありそうです。

 

2 現状の課題と義務化の背景や根拠について

ではオンライン請求の義務化の話が突然降ってわいてきたのかというと、そうではありません。この背景には、さかのぼること平成17年12月1日の「医療制度改革大綱」において平成23年度当初から原則としてすべてのレセプトがオンラインで提出されるものということが明記されているのです。このことから現在、光ディスクや紙のレセプトによる請求は例外措置であり、本来よりオンライン請求への移行を進める方針が示されていたわけです。

しかし社会保険診療報酬支払基金が公開している令和5年7月診療分のレセプト請求形態別の資料によると、歯科は約60%(医科は約20%、調剤は約2%)がいまだに光ディスクや紙での請求処理が行われています。そのため国として推し進める方針として「経済財政運営と改革の基本方針2023」や「規制改革実施計画」などが示されたとも言えます。

オンライン請求にシフトする決定的な要因をひとつにしぼることは難しいですが、例えば厚生労働省の「オンライン請求の促進に向けた取組」の資料によると、審査支払機関において請求されるレセプトがCDや紙媒体であることで事務の効率化に限界が生じているとあります。少子高齢化による人手不足が懸念される日本において、このような面からもデジタルの活用が求められているのではないでしょうか。

 

3 ロードマップについて

「規制改革実施計画」を受けて、厚生労働省ではオンライン請求の促進に向けた取り組みを推し進めるための「オンライン請求の割合を100%に近づけていくためのロードマップ(案)」を公開しています。このロードマップには、そのための具体的な期日が示されています。

光ディスク等の請求は新規適用を令和6年4月から終了とし、この方法で請求を行う医療機関は令和6年9月末までに原則オンライン請求に移行するとしています。また光ディスク等での請求を続ける医療機関には移行計画の提出を求め、1年単位の経過的な取り扱いとすることが明記されています。

そして紙レセプトで請求を行う医療機関については、あくまで経過的な取り扱いであることを明確化したうえで新規適用を終了するとし、レセコンを未使用の場合の新規適用を令和6年4月から終了するとしています。また令和6年4月以降も紙レセプト請求を続ける機関は、改めて当初の要件を満たしている旨の届け出を提出することが明記されています。

義務化でおこる変化や影響について

オンライン請求に移行することで起こる変化やその影響について、医療機関では具体的にどのような点を危惧されているのでしょうか。実態を把握するために厚生労働省は、「オンライン請求の割合を100%に近づけていくためのロードマップ(案)」の中で全国8,000の医療機関に対して、アンケート調査を行っています。

このアンケート結果によると、光ディスク等で請求を行っている医療機関の58%が「情報セキュリティ上の不安がある」と回答しています。さらに、費用や請求方法なども、オンライン請求を実施しない主な理由や移行するうえでのハードルとして回答されています。

さらにオンライン請求への移行を検討するうえで、約7割の医療機関が、あると望ましいとして「オンライン請求の方法についてわかりやすい説明があるといい」と回答しています。また、ほかには「情報セキュリティを確保するための対応」や「導入費用やランニングコストの見込み」といったことを望む回答が上位に挙がっています。

医療機関が考えるオンライン請求を実施しない理由や移行のハードルはいくつかあるようですが、アンケートからは上位3つほどに集約されていることがわかります。もちろん医療機関がおかれている状況は千差万別であり、さまざまな理由やハードルがあることでしょう。それでもデジタル後進国と言われる日本において長期的な視点で医療を考え、大きく舵を切っていかなければ、先行きが不安だということは誰しもが感じているところではないでしょうか。

そうした舵取りの中でオンライン資格確認が進められたことで、これまでボトルネックだったオンライン請求を行うための専用回線の環境がすでに整えられました。これによりアンケート上位を占めていた情報セキュリティ上の不安や費用の負担といった理由やハードルは、軽減されているということから、オンライン請求への移行を検討するにはよいタイミングといえるでしょう。

準備すること

オンライン請求は、すぐにその日からスタートできるというわけではありません。今後、オンライン請求を始める方は計画を立て、場合によってはスタッフとも共有し、スムーズな移行ができるよう準備を進めていきましょう。今回は仮に9月診療分(10月請求分)からオンライン請求の開始を想定したスケジュールとあわせて解説します。

 

1 申請手続きついて(8月20日までに行う:毎月20日が締切日)

レセプトのオンライン請求を開始するには、請求接続可能回線のご準備とともに、以下のA・Bいずれかの方法で手続きが必要です。

A 医療機関等向けポータルサイトからの申請
B 社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会への書類の届け出

申請手続きには大きく2パターンがありますが、多くの歯科医院でオンライン資格確認の導入に伴い、インターネットへの接続環境が整っていることを踏まえ、医療機関等向けポータルサイトからの申請方法をメインに解説いたします。

●医療機関等向けポータルサイトからの申請の場合
下記のURLからレセプトのオンライン請求システムに関する利用開始届の申請手続きを行います。
https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/application/post-10.html

手続きは「オンライン請求に関する開始・変更届出」を行い、その後「電子証明書発行申請(※1)」の流れで行います。なお、オンライン資格確認用パソコンを使用するか、レセコンのパソコンを使用するかにより、申請内容が異なりますので注意が必要です。申請の入力画面には事前に確認しておくことでスムーズに申請が進められる項目もありますので、必要な情報の準備を行い手続きに臨めるようにしましょう。
※1「電子証明書発行申請」は、オンライン資格確認用パソコンと同パソコンでオンライン請求を行う場合、申請は不要です。

●書類にて手続きを行う場合
社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会の下記URLから情報を確認しながら書類を作成し、それぞれに提出する必要があります。
<社会保険診療報酬支払基金>
https://www.ssk.or.jp/seikyushiharai/online/iryokikan/index.html#cms04

<国民健康保険中央会>
https://www.kokuho.or.jp/system/online/notice.html

 

2 オンラインで請求するための設定について(9月中旬~下旬までに実施)

申請手続きが受理されると、支払基金より「設定ツール(無償)」が郵送されてきます。同梱されている手順に従ってインストール設定等を実施します。

設定ツールのセットアップ後は、オンライン請求への切り換え設定がレセコン側で必要な場合があります。初期設定や月遅れ請求、レセプトや総括表の発行の各種設定など、各メーカーによって異なりますので、あらかじめ確認をしておきましょう。

これらの設定を終えますと、オンライン請求が実施できますので、翌月10月5日~10日に9月診療分(10月請求分)のレセプトを送信します。申請からオンライン請求開始まで、およそ2ヶ月間を要しますので、余裕をもって手続きできるようにしましょう。

 

3 レセコンメーカーの対応について

オンライン請求に移行した当初は操作などに不慣れな部分があり不安に感じる方も多いのではないでしょうか。そのようなときに頼りになるのがレセコンメーカーです。利用中のレセコンメーカーがオンライン請求に対してどのようなサポート対応を用意しているかを事前に確認しておくとよいでしょう。

また、デジタルマニュアルやQ&A、動画解説などの準備があるか否かを確認しておきましょう。電話対応だけでなく、自己解決できる他の手段としてどのようなサポート体制があるかも大切なポイントです。

まとめ:オンライン請求の移行に向けて、実行計画の検討を

レセプトのオンライン請求の義務化については、さかのぼれば平成17年12月1日の「医療制度改革大綱」で平成23年度当初から原則としてすべてのレセプトがオンラインで提出されるものと明記されていました。これをさらに後押しするかたちで「経済財政運営と改革の基本方針2023」で医療DXについて明記されるなど、国や厚生労働省は医療のデジタルシフトを推し進めています。

このような時勢のなかでオンライン請求の義務化は計画的にすすめられています。とは言え、移行にあたっては医療機関の運用に極力影響が少ないかたちですすめられることが理想的でしょう。そのためにも計画的に申請手続きやオンライン請求のための各種設定を進められるよう、レセコンメーカーの力も借り、無理のないかたちで移行の実施を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

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