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歯科業務に欠かせないレセコン、選定する際に知っておきたいこと

今やほとんどの歯科医院で導入されているレセコン。一般的にはレセプト請求や会計に使用するイメージが強いかもしれませんが、歯科医院の業務全体を効率化してくれる頼もしい存在でもあります。レセコンの導入によりできることやメリット、選定のポイントなどを解説します。

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レセコンとは

レセコンとは、歯科医院が患者に対して行った保険診療に関する診療報酬請求書(レセプト)を点検・作成してくれるシステムです。レセプト作成は歯科医院の毎月の収益にも関わる大変重要な業務ですが、作成だけでなく情報が正しく入力されているかチェックする手間もあり、毎月の大きな負担になっているケースも珍しくありません。患者の頭書情報はもちろん、傷病名や診療回数、処方料回数のほか、レセプトの算定ルールに従って入力されているかなど、チェックする項目は多岐にわたります。

  

こうしたレセプトの点検作業の負担を軽減してくれるのがレセコンです。入力した内容をシステムがチェックしてくれるだけでなく、診療報酬改定の際にも算定ルールを覚え直す手間を削減するなど、業務の負担を大きく軽減してくれる効果があります。また、入力ミスによる返戻や、算定漏れを防止することで収益の取りこぼしを防ぎ、時間外勤務の減少につながるのも大きなポイントです。

  

少し前まで紙で行われていたレセプトの請求は、一部条件によって限定的に残っているものの現在では電子レセプトによる請求が一般的です。社会保険診療報酬支払基金がまとめた「レセプト請求形態別の請求状況」によると、20203月診療分で歯科における電子レセプトの割合は91.5%(医療機関数・薬局数ベース)、また件数ベースでは97.7%となっており、その内訳はオンラインによる請求が24.8%、電子媒体よる請求が72.9%となっています。

  

また、同じように院内で利用されているシステムには電子カルテもあります。歯科ではレセコン自体に電子カルテの機能が含まれているか、またはオプションとして機能追加することで使用するため、システムが分かれていることは基本的にありません。

電子カルテについて詳しくは「歯科診療業務の生産性向上につながる電子カルテ、導入メリットと選定のポイント」を併せてご一読ください。

レセコンの導入によりできること

レセコンはレセプト請求を行うためのシステムというイメージが強いのですが、実はそれ以外にも、院内のさまざまな業務のサポートを行い、医院を運営・経営していくための補助ツールとして活躍してくれる存在です。その代表的な活用方法を、院内のシーン別に分けてご紹介しましょう。

  

受付・待合室

患者の予約管理機能をはじめ、受付対応、タブレットを利用した問診票の作成、診療後の会計表示のほか、患者のスマートフォンを診察券として利用できる機能を備えた製品もあります。また、レセコンによっては自動釣銭機や自動精算機と連携可能な製品もあり、レジ誤差やレジ締めなど現金管理の手間を大きく省いてくれます。

  

診療室

歯科においては診療録を電子データで保存・管理できる電子カルテもレセコンの重要な機能のひとつ。診療録を電子データで保存・管理することでデータ活用しやすくなります。このほか、治療サポートとして患者のインプラント管理、義歯や補綴(ほてつ)の状況確認、歯科衛生士のサポートツールとして歯周病管理や業務記録簿を発行できるものもあります。電子カルテを導入する際は、厚生労働省のガイドラインに準拠した「真正性」「見読性」「保存性」の3つの要件を満たしていることにも留意する必要があります。

  

カウンセリング室

カウンセリング室においては、インフォームドコンセントのためのサポート機能も重要です。治療説明用の動画を表示したり、検査データや画像などの口腔内情報を一括管理できたりするなど、患者への治療説明に必要な機能があるものが役立ちます。

  

バックヤード

バックヤードに関する機能で、最も重要なのはやはりレセプトの点検作業・作成に関する機能です。また、レセプトを作成するために必要な情報は経営判断を行う上で必要な情報の宝庫ともいえます。これらを二次利用、指標化して分析できるツールもあります。さらには歯科材料の入出庫管理や患者情報の整理、重要なデータバックアップなども行えるものもあります。最近では、バックアップ機能は従来のハードディスクだけでなく、クラウドバックアップが可能な製品も増えています。

  

訪問診療

レセコンには訪問診療に必要なサポート機能も備わっています。訪問先でカルテ入力することができるため、患者への介護保険分の請求や領収証の発行もスムーズです。また、患者の口腔状態を示す「居宅療養管理指導情報提供書」を発行し、ケアマネージャーと口腔状態や診療方針を共有できます。インターネットを通じて国保連請求が行える機能を備えているかどうかもポイントです。

  

自宅・その他

診察後の患者をサポートするレセコンもあります。また、予約のリマインドやインターネットでの24時間予約受付のほか、医院のホームページ作成のサポートサービスを提供しているメーカーもあります。

このほか、レセコンにはデジタル線や各種ソフトウェアとのデータ連携、レセコンには院内掲示物の作成やデジタルサイネージを利用して院内にお知らせを流す機能を備えたものもあります。活用次第で経営・運営の負担を大きく軽減してくれるでしょう。

レセコン導入のメリット

レセコンを導入することでさまざまなメリットが得られますが、なかでも重要なのはレセプト作成にかかる作業を効率化するほか、チェック機能によりミスや漏れを減らし、正確で迅速なレセプト作成をサポートしてくれる点にあります。 さらに、当日に行った治療内容をカルテとして遅滞なく、迅速に記録できることもポイントといえるでしょう。

  

また、先にご紹介したとおりレセコンはレセプト請求だけでなく、電子カルテや患者の予約管理、歯科材料の入出庫管理、インフォームドコンセントのサポート、掲示物の作成など、院内の業務を幅広くサポートしてくれる機能が備えられています。レセコンは、診察や会計など複雑で多岐にわたる業務をワンストップで行い、歯科医院の業務全体を効率化してくれる頼もしい存在なのです。

レセコン選定のポイント

現在、レセコンはさまざまなソフトウエアメーカーからサービス提供されています。導入の際にはどれを選ぶか迷う場合が多いことから、レセコンを選ぶ際のポイントについてまとめました。

  

導入費用はどれくらいか

レセコンの導入費用は製品によって異なり、例えば導入費用だけ見ても数十万~数百万程度と大きな差があります。レセコンの契約形態には大きく分けて「サブスクリプション型」と「買い切り型」の2つがあります。サブスクリプション型は利用に合わせて月々料金を支払う方式で、利用期間中に行われるサービスのアップデートを受けることができます。

  

買い切り型はリース契約を行い、月々リース料を支払うケースがほとんどで、アップデートを行うための保守費が必要になるケースもあります。リースの場合はリースアップ後に再契約が必要になり、新たに費用が発生する点に注意が必要です。また、導入したレセコンのサポートが終了した場合は買い換え(乗り換え)が必要となり、この際も新たにまとまった費用が発生します。

  

レセコンを導入する際はこういった点を踏まえ、長期的な視点でかかる費用を計算し、コストを比較することが重要です。

  

電子カルテが標準搭載されているか

レセコンによっては電子カルテの機能が搭載されているもの、また、オプションで別途料金が発生するものもあります。現在、大きな流れとして電子カルテの標準化に向けて動いていることもあり、将来的には歯科でも電子カルテを使用する必要に迫られることになるかもしれません。仮に現在電子カルテを利用していない場合でも、将来的に発生しうるコストの面も意識して選択する必要があります。

  

サポート体制は充実しているか

レセコンは歯科医院にとって不可欠なシステムなだけに、万一のトラブル時に手厚いサポートが受けられるかどうかもチェックするべきポイントです。

  

トラブル時に電話のみのサポートと現地まで来てくれるのとでは安心感が大きく異なりますし、対応可能時間やサポートのつながりやすさも重要です。さらに、トラブルの中にはリモートで解決できるものも多いため、リモートサポートや遠隔サポートにも対応している製品であれば迅速な解決につながります。自己解決できるFAQがしっかり整備されていることもチェックしたいポイントの一つです。また、データバックアップや無停電電源装置などがサポートに含まれていれば、停電や災害時の対策になります。

  

※歯科レセコンの具体的な活用例は「導入事例:歯科レセコンの活用のポイントとは」を併せてご覧ください。

院内業務を効率化してくれる心強いツール

レセコンはレセプト請求に不可欠なだけでなく、受付業務や診療情報の管理など、煩雑な院内業務を効率化してくれる心強いツールです。ただ、機能やコストはレセコンによって異なるため、導入の際はよく比較検討することが重要です。

  

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