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お年寄りや障がい者に対しての色

ユニバーサルデザインの視点から再考してみましょう。
お年寄りや障がい者の方への心配りについて考えます。

Webカラーセミナー今回のテーマは「お年寄りや障がい者に対しての色」です。
高齢化社会では、患者さんの中に占める「お年寄りの比率」がアップしていきますね。

ユニバーサルデザインの普及

最近は、一般の企業も積極的に障がい者に優しい施設をつくったり、誰もが使いやすい「ユニバーサルデザイン」の商品を開発するようになってきました。
文具から家、そして旅行に至るまで、お年寄りや障がい者のためのサービスを追求した結果として、今までの商品やサービスに不満を感じていた若い人や健常者をも引きつける結果になっている例も多く見受けられる時代です。

このようなユニバーサル・ホスピタリティの流れは、歯科診療においても波及していくだろうと思います。なぜなら、そこにある「思いやり」や「患者さんの気持になって考える」姿勢から、さまざまな「患者さんの側から感じる不便・不快」というものが改善されていくからです。
単に段差をなくすとか、カードの文字を大きくするといったことだけでなく、安心や幸せを大きく、多くするという考え方に立って、色彩環境についても改善をしていくと良いのではないでしょうか。

お年寄りの「見え方」

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それにはまず、お年寄りの「見え」の特性を把握し、できればそれを疑似体験しておくことが望ましいのです。というのも、60歳以上の約9割の方々は、程度の差こそあるものの、眼球表面にメラニン色素が沈着し、うす茶色のベールをかけたような感じに物が見えているからです。しかし、毎日少しずつ、何年もかかって進行していくので、本人は視界が暗くなったとは思っていないことが、ほとんど。

これを疑似体験するには、茶色いレンズの入ったサングラスをかけてモノを見ることをおすすめします。
そうすると茶色と黒と紺と紫と青と深緑は、すべて「黒」に見えることが分かるでしょう、それから、派手な赤やオレンジ、黄色、黄緑は、ほど良くにぶい色に変わって見えます。

明暗差をつけると分かりやすい

このような老人特有の視覚特性に対処するうえで大切なことは、暗い色どうしを組み合わせないことが大切になってきます。同様に明るい色どうしも見分けにくいので、注意が必要です。
たとえば、青と茶色、水色とベージュ、水色とライトグレーの配色などは、明暗差が少ないので、どれも良くありません。一方、白と黒、青と黄色、黄緑と紺、深緑と白などは、明暗差があるので、どれも分かりやすくなります。

また、お年寄りは案外ピンク、黄緑、オレンジ、水色、明るい青紫(あじさいの花のような色)、明るめのエメラルドグリーンなどを好みやすいので、明るい色のソファー、絵、エプロンなどを用意してみましょう。

それからなつかしい感情を抱いてもらうことも癒しになりますから、クッションを明るめの藍色にしたり、ちりめんのふろしきを待合室に飾ったりして、なつかしい色柄と出会えるようにしても良いですね。
一番に気をつけなければいけないことは、お年寄だから地味な色のスリッパをすすめるといった押しつけです。
そして、逆にどんどん実行したほうが良いのは「きれいな色のシャツですね」などと、具体的に色を1つほめて「ことばの花束」をさしあげること。いくつになっても、男女ともに「おしゃれ」を認められるのは、うれしいものです。 

予約カードに気をつけて

それから、ぜひ実行してほしいのは、予約カードの字を大きくすること。そして、枠(ケイ線)の色と書き込むペンの色に大きく差をつけることです。たとえば黒いペンで日時を記入するのなら、黄緑、ピンク、オレンジのいずれかをラインの色にしましょう。ラインや( )(かっこ)の色が青緑や青で、文字が黒では両方が黒く見えて分かりづらいですよ。

ほかに、気をつけなければいけないのは、色弱や色盲というハンディキャップのある人への配慮です。
たいていの色覚障がいの人は「赤」と「緑」の区別がつきにくいのですが「ピンク」と「ブルーグリーン」も同様に判別しにくいので、そのような配色を地色と文字色に使わないようにしましょう。

視覚障がい者への対策のコツは、明暗差をつけることです。そして、赤系や緑系の色相を、たとえばオレンジや青というように、別の色相にずらすことです。したがって濃いめの青と明るいオレンジ色の配色などは、比較的見やすくなります。

それから手足の障がいに対しては、血行を促し、筋力をつけやすくする「赤」が効果的です。しかし、「赤」では血を連想しやすく、恐怖感もつのるリスクがあります。そこで「赤」を淡くした「ピンク」を使ったり、「赤」が混じっている「オレンジ色」を使って赤の効果を取り入れつつリスクを少なくしましょう。特に「オレンジ色」は男女の別なく受け入れられやすいので、おすすめです。

ことばの心配り

また、目の不自由な人には「きれいな色の歯ぐきをしていますよ」とか、「今日のTシャツは、海のような青で、いいですね」と話しかけてほしいものです。目の不自由な人も、自分がどう見られているのかを肯定的な情報として得られるのは、うれしいのではないでしょうか。
ちなみに、私の指導先の1つである鍼灸院では、7月から9月にかけて「海の波音」のCDをかけたところ、同じサービスと治療なのに「とても気持が良い」とおっしゃる患者さんが増えました。すべての人を癒す空と海の写真や絵に、波の音をプラスしてみるのも感じる力が強いお年寄りや障がい者の方々に喜ばれるのではないでしょうか。

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いすゞ自動車(株)役員秘書、(株)ドトールコーヒー社長秘書、コピーライター等を経験後、1984年にカラーコンサルティングの(株)ハーツを設立し、カラーデザインとカラーアドバイスを手がける。
また、日経産業新聞紙上のコラム「市場トレンド 私はこう読む 」 に10年以上にわたって執筆記事を連載。
わかりやすく語る実践的なノウハウの数々は、各地の医師会や研究会の会員からも好評を得ている。

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