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女性と男性に対しての色の使い分け

男性と女性とでは、色の好みに際立った特徴があります。
色の使い方を工夫して快適な空間作りを・・・・・・

Webカラーセミナー今回のテーマは「女性と男性に対しての色の使い分け」です。
一人一人の快適さに配慮するうえでは、まず、男と女の感受性の差に配慮することが大切です。

異性の「心理」と「行動」を読む

『話を聞かない男、地図が読めない女』(主婦の友社)というタイトルの本がよく売れたそうです。よく売れたということは、パラッと一部を読んで「そうだ、そのとおりだ」と共感したのですよね。共感するだけなら買わなくても良いわけです。でも、多くの人が買ったということは、互いに相手の行動が理解できないからです。

もし、歯科医院で、先生が男性なら、先生は努力して「女性の心理と行動」を研究しなくてはなりません。
同様に、女医さんの場合は、つとめて「男性の心理と行動」を知らなくてはならないはずです。なぜなら互いが、つい自分を中心に「誰でも、こうして欲しがっている」とか、「みんな、コレはイヤがる」と思いがちだから、知らず知らずのうちに誤解したまま、異性の快・不快を理解したつもりになっていることが多いからです。

男性は「少し赤」のが好き

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まず、好きな色の傾向から、男女差をさぐってみましょう。
男性は、主に青緑、青、青紫までの色とシルバーが好きです。このほかに、近年は皆さん疲れていらっしゃるせいか、グレーと緑に対する好みの高まりが見られます。
こうして確認していくと、男性が好む色には青を中心としたクールなイメージの色が多いですね。しかし、男性にも、赤を好む人は多いのです。でも、女性ほど広い範囲の、いろいろな赤を好むのではなく、スポーツウエアのロゴなどにありがちな、はっきりした赤を、せまい範囲で好みます。これは、青系に対する好みの幅の広さと比較すると、差があります。水色も青も紺も、たいていの青は喜んで受け入れ、赤については、少量のワンポイント的な使用を好むのが男性なのです。
また、男性は女性が思っているよりも「黄色好き」です。本当は、5~6才の子供が好みやすい色が黄色なんですけど、男性の中には大人になっても「少年」が眠っているのかもしれません。

男性の注目率を高める色は?

このような「男性のし好」を理解したうえで、歯科医院に出来るサービスを考えてみますと、次のようになります。
まず、看板かドア、窓などの、外から見えるところに青の濃淡を使いましょう。これで男性が入りやすくなります。そして、パーキングの「P」マークや「休診日」の文字で「はっきりした赤」をほんの少し使いましょう。これで、さらに男性の注目率を高めます。
それから表の「花」や、待合室の「絵」、トイレの小物に「黄色」を用いましょう。これで、さらに男性患者さんを引きつけ、サービスが良さそうな、明るい印象を与えることができます。
もう、お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、男性は「赤」「青」「黄」といった基本的で明確な色を好む傾向が、女性よりも強いのです。これは、情報を単純化して、すばやくとらえたいという本能にもとづいています。見やすく、区別しやすい記号的な色を使って、安心感を与えましょう。

女性に配慮した色使いは?

一方、女性のほうには、次のような色の好みに対する傾向が強くあらわれがちです。しかし、個人差がありますから「あなたは女性だから、これが好きでしょう」といってはいけません。なぜなら、女性には「他の人と違う自分」をアピールしたい心理がありますから、女ということでひとくくりにされるのが、心の底ではおもしろくないからです。

それでも女性は、男性にくらべて赤、ピンク、オレンジ、紫を好みます。これは、女性ホルモンの分泌を助ける赤系統の色が含まれているほうが、自分を魅力的にしていくのに役立つからだと考えることができます。
また、料理や子育てにおいて、子供の顔色であるとか、木の実や野菜の色に敏感である必要性が高かった女性が身につけた習性とみることもできます。

このような女性の特性に配慮すると、歯科医院は、次のような色づかいであったほうが良いのです。
まず、ピンクかオレンジが、看板か、外壁か、外から見える花などに少し使われている方が興味を持ってもらえます。待合室にもこうした色を飾り、暖かくやさしいイメージをつくりましょう。そしてトイレや受付にはうす紫、紫、赤紫などの花や、小さなカード立てなどを使います。
ただし、女性が好きな色でも「赤」は血の連想をしやすいので、できれば使い過ぎないほうが良いでしょう。このような配慮によって「きれいで居心地が良い」と気に入ってもらいやすくなります。

男女共通、男女別々のすすめ

しかし、男女の両方が来院される歯科医院では、どちらにも良いようにしていると、ケバケバしくなったり、色がさまざまにありすぎて落ちつかなくなるおそれがありますね。

そこで私は次のようなご提案をしています。
まず、男女共通で好みやすく、歯科への信頼を集めやすい色として、青か水色を医院の内外に使いましょう。
そして、やはり男女共通で好みやすい緑色やベージュ、ソフトな白などをエクステリア(外部)の植え込みやインテリアの観葉植物でプラスするのです。これで両性に受け入れられる環境が整えられます。

それから男性患者には、青か黄色のコップ、エプロン、ひざかけ、スリッパ、予約カードを用意しましょう。
そして女性患者には、ピンク、オレンジ、紫などのコップ、エプロン、ひざかけ、スリッパ、予約カードを用意するのです。ポイントは、患者さんに「お好きな色をお選びください」とお声がけすることです。
全体として、色に対する反応が強いのは、女性的な男性か、女性です。その人たちは「色で喜び」「色で不快になりやすい」と心得ましょう。したがって、どちらかといえば女性が喜んでくれる色づかいを心がけたほうが、デリケートな歯科医療のサービスはうまくいくのです。

  

●関連コラム「お年寄りや障がい者に対しての色」はこちら

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●お役立ち資料「前編│実践!すぐに役立つカラーセミナー 」はこちら
●お役立ち資料「後編│実践!すぐに役立つカラーセミナー 」はこちら

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いすゞ自動車(株)役員秘書、(株)ドトールコーヒー社長秘書、コピーライター等を経験後、1984年にカラーコンサルティングの(株)ハーツを設立し、カラーデザインとカラーアドバイスを手がける。
また、日経産業新聞紙上のコラム「市場トレンド 私はこう読む 」 に10年以上にわたって執筆記事を連載。
わかりやすく語る実践的なノウハウの数々は、各地の医師会や研究会の会員からも好評を得ている。

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