実践!スタッフが安心して働ける職場環境の取り組みについて
働き方改革が叫ばれる中、徐々に広まっているテレワークなどの働き方の多様性が、昨今の新型コロナウイルスの影響もあり、一気に進んだように思われます。
いっぽうで近年、医療機関に対しても労働基準監督署(以下「労基署」という)の監督指導が多く実施されているのをご存知でしょうか。これも働き方改革を推し進めるうえで、大事なプロセスと言え、クリニックも決して他人事ではありません。
今回は、監督指導で見つかる法令違反の内容や防止策から、スタッフみんなが安心して働ける職場作りの具体的な取り組みについて見ていきます。
労基署による調査が入るクリニックとは

労基署による監督指導は年間157,246件(2018年)実施されています。その内、定期監督等(当該年度の監督計画により、労基署が任意に調査対象を選択し、法令全般に渡って調査をするというもの)は、136,281件が実施され、その内68.2%(93,008件)で、法令違反が見つかっています。
さらに申告監督(いわゆる労働者が労基署に駆け込んだ場合)は、20,965件が実施され、その内68%(14,263件)で法令違反が見つかっています。また、業種別でみると医療保険業において実施された監督指導では、約74%で法令違反が見つかっています。
法令違反が見つかった約74%のうち、違反内容で多いのが労働基準法では第32条「労働時間」と第37条「時間外、休日及び深夜の割増賃金」が半分を締めます。次いで、就業規則(89条)や賃金台帳(108条)などが続きます。
(参照)労働基準監督年報 平成30年
この数字を多いと考えるか、少ないと考えるかはそれぞれですが、約16万件近くの監督指導が行われていることは事実です。そして医療保険業において法令違反の内容が、「労働時間」や「時間外、休日及び深夜の割増賃金」などの労働基準法に起因するという点は、歯科医院においても無視はできませんし、対応を怠ったことで、経営のリスクともなり得るでしょう。
スタッフが安心して働ける歯科医院を目指す!

では、労基署に駆け込まれて指導されるようなことにならないための対策として、まずはスタッフが健康で、安心して働ける職場作りの重要性は十分にご理解しているとはいえ、具体的な取り組みとなると院内の何から手を付けたら良いのかと、悩んでしまう方が多いのではないでしょうか。
そこで、ひとつ取り組みの例としてご紹介したいのが、「勤務間インターバル」です。耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、「勤務間インターバル」とは、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止を図るというものです。
2019年4月から、制度の導入が努力義務化されたのですが、健康やワーク・ライフ・バランスの確保策として今後の動向が注目されていますので、取り組まれてみてはいかがでしょうか。
また、取り組むといっても、実際のところ歯科医院ではスタッフの数が限られますし、大きな病院のような人事部を整え、組織的・専門的な対応が困難だということで、お困りの方もいらっしゃるかと思います。そのような場合は、社会保険労務士(以下「社労士」という)に、相談してみるのもひとつの方法です。
社労士は、社会保険労務士法に基づいた国家資格者です。組織の成長において必要な人材に関する専門家で、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施」や「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上」などの業務をサポートしてくれます。
さらに「勤務間インターバル」の導入を歯科医院で取り組む際に必要な資金面は、今ですと働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)を活用してみるのも手です。この助成金は厚生労働省が主導で行っている勤務間インターバルの導入に取り組む中小企業事業(歯科医院も対象となります。)を支援するものです。
支給対象となる取り組み費用の一部が助成金として、上限額 最大100万円(助成率 取り組み費用の4/5 ※)支給されますので、例えば自動釣銭機などの労働効率を上げる設備や機器の導入に賢く活用し、「勤務間インターバル」の導入を実現させてみてはいかがでしょうか。
※30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器などの経費が30万円を超える場合は4/5助成となります。
(参照)働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の詳細はこちらをご覧ください。
おわりに

身近に相談できる社労士がいない場合には、弊社においても社労士をご紹介できますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
また働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)は弊社のEntry Suiteもこの助成金の対象となりますので、初めてMIC製品をご利用される方、近いうちに新規開業をお考えの方は、この機会にご導入をご検討ください。
Entry Suiteの詳細はこちら